響きと怒り、アブサロム・アブサロムとともにフォークナーの代表作
いわゆるヨクナパトーファ・サーガのひとつ。一番実験性の少ない文章。
リーナ嬢 : ブラウンの子を身ごもる、バイロンは一目ぼれで尻に敷かれる
クリスマス: 白人か黒人か不明。ただ皮膚のいろが、羊皮紙色。
孤児院でそだち、厳格な農家に養子にはいるが、長じて家出する。
黒人運動家のバーデン嬢と関係をもつが、彼女から
魂まで支配されそうになり、殺してしまう。
最後に監獄から脱走するが、州兵のグリムに射殺され
死の前に、残虐な処置をうける。
ハイタワー: 妻の不貞を理由に牧師を首になり、かつ黒人女をお手伝いと
して置き続けたのでリンチにあうも、町に居座る。
バイロンの求めに応じ、リーナの出産を手掛ける。
クリスマスの祖父・祖母: 恥じ多い出産で娘が死に至るも医者を呼ばなかった
祖父は、孫を孤児院に放り込み、門番となり成長を見守るが
里親ができたときに、見守りをやめる。祖母は、今回の事件で
はじめて孫がまだ生きていることを知り、祖父をひきづってくる。
ハイタワーに犯行時のアリバイ偽装をたのむが、脱走で無駄になる。
ブラウン: ルーカスが偽名で町に現れ、製材所で働くも、クリスマスの密造酒つくりに加担する。
最後にリーナと一緒にされそうになると、窓から逃げ出す。
凄惨な事件だが、多くの感動的エピソードがちりばめられ、読み応え十分。
バーボンが飲みたくなる。ゴスペルが聞きたくなる。